「フォトフェイシャル」「ハイドラフェイシャル」「オンダリフト」「LDM(水玉リフティング)」――SNSで人気のこれらの施術名、実はすべて登録商標です。
エステサロンが何気なく使ったメニュー名やハッシュタグが、知らないうちに商標侵害になっていたケースが急増しています。この記事では、話題の4ワードを中心に「使っていい人・使えない人」を整理し、サロンを守るための正しい代替表現をご紹介します。
なぜ今、美容施術名の「商標」が問題になっているのか

韓国や欧米発の人気施術が日本に上陸する際、機器メーカーや正規代理店が施術名を登録商標として保護するケースが増えています。施術名が世間に広まるほど、許可なく名称を使うサロンも増え、商標権者がSNSプラットフォームに通報したり、法的措置を検討したりする動きが顕在化してきました。
商標権を侵害した場合、差止請求・損害賠償請求(過去3年分遡及)、さらには刑事罰(懲役10年以下・罰金1,000万円以下)が適用される可能性があります。「知らなかった」は法律上の免責理由になりません。
【4大商標ワード】使える人・使えない人を徹底整理
① フォトフェイシャル®

IPL光治療のパイオニアとして知られるルミナス・ビー ジャパンが保有する商標です。「フォトフェイシャル」と正式に名乗れるのは、ルミナス社製機器(Stellar M22等)を導入しており、かつフォトフェイシャル協会に加盟している医療機関のみ。この2条件を満たさない場合は使用不可です。
| 使用者 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|
| ルミナス社製機器+協会加盟クリニック | ✅ 使用可 | 正規条件を満たす |
| 他社IPL機器導入クリニック | ❌ 使用不可 | 機器条件を満たさない |
| エステサロン | ❌ 使用不可 | 医療機関ではない+機器条件も満たさない |
② ハイドラフェイシャル®

米国HydraFacial LLCが2022〜2023年にかけて日本での商標登録を完了させた、比較的新しい事例です。登録完了後、各機器メーカーが導入サロンに向けて「速やかに名称を変更するよう」通達を出したことで業界に大きな波紋が広がりました。
「ハイドラフェイシャル」と名乗れるのは、HydraFacial LLCの正規機器を導入した施設のみ。類似機器(ハイドラジェントル・アクアピーリング・水光ピーリング等)を使用しているエステサロンが「ハイドラフェイシャル」と表記することは商標侵害に該当します。実際に多くのサロンが名称変更を余儀なくされています。
③ オンダリフト

「オンダリフト」はDEKA社製の医療機器「ONDA PRO」を使用した施術名です。正規の「オンダリフト」は医師・看護師などの有資格者が医療機関のみで取り扱える医療機器であり、エステティシャンが使用することは法律で禁止されています。
これに乗じて「エステ版オンダリフト」「類似機器によるオンダリフト」などの表記で集客しているエステサロンが増加。これは商標リスクに加え、医療機器の誤認を招く薬機法・景表法上のリスクも重なる二重の問題をはらんでいます。SNSでの「オンダリフト」ハッシュタグ使用も、商標権者または正規クリニックからの通報によりアカウント停止のリスクがあると報告されています。
④ LDM®(水玉リフティング)

「LDM®」および「水玉リフティング」は、韓国発の超音波美容機器に関連した施術名・技術名です。正規代理店から機器を導入したサロン・クリニックのみが使用を許可されており、類似名称(「白玉リフティング」「水艶リフティング」「艶肌リフティング」など)での集客も消費者への誤認を招くとして問題視されています。
「LDMと思っていたら全く別の機器だった」という消費者トラブルも増加しており、正規代理店や業界団体が注意喚起を強化しています。
【早見表】4大ワードの商標まとめ
| 施術名 | 商標権者 | エステでの使用 | 安全な代替表現 |
|---|---|---|---|
| フォトフェイシャル® | ルミナス・ビー ジャパン | ❌ 不可 | 光フェイシャル・IPLトリートメント |
| ハイドラフェイシャル® | HydraFacial LLC(米) | ❌ 不可(正規機器なければ) | アクアピーリング・毛穴洗浄・ウォーターピーリング |
| オンダリフト | DEKA社(伊)関連 | ❌ 不可(医療機器+商標リスク) | 機器の正式名称+「リフトアップケア」 |
| LDM®・水玉リフティング | 正規代理店管理下 | ❌ 正規導入以外は不可 | 超音波フェイシャル・エコーケア |
今すぐ確認!サロンの商標リスク チェックリスト

✅ 確認チェックリスト
- メニュー表・価格表に「フォトフェイシャル」「ハイドラフェイシャル」「オンダリフト」「水玉リフティング」が含まれていないか
- ホームページのページタイトル・本文・altテキストに上記ワードがないか
- Instagramのプロフィール・ハッシュタグ・キャプションに上記ワードがないか
- ホットペッパービューティーなどの掲載情報でメニュー名に使用していないか
- チラシ・DM・名刺などの紙媒体に記載されていないか
- 使用している機器が正規代理店から導入したものか確認できているか
- 正規導入の場合でも、商標使用の許諾範囲を代理店に確認しているか
商標侵害を避けながら、正しく集客する方法

「商標ワードを使えないと、検索されなくて集客できない…」と感じる方もいるかもしれません。しかし、検索されたい気持ちを理解しつつも、商標侵害のリスクを回避することは十分に可能です。
戦略① 記事・説明文で「正しく言及」する
「当サロンの施術はフォトフェイシャル®ではありません。IPLトリートメントと呼ばれる同原理の光美顔です」のように、商標ワードに言及しながら自分のサービスとの違いを明確にする記事・ページを作成する方法は、適切に行えば商標侵害になりません(説明的・比較的使用)。ただし表現には注意が必要で、「類似品」「より安く同等の効果」のような誤解を招く記述は景表法上の問題も生じます。
戦略② 機器の正式名称+特徴をメニュー名にする
たとえば「スタービームIPL美肌ケア」「○○社製 超音波ウォータリングケア」のように、使用機器の正式ブランド名と特徴を組み合わせた独自メニュー名を作ることで、SEO上でも差別化できます。
戦略③ 「○○の代わりに」ではなく「○○と似た効果」でもなく、独自の価値訴求へ
「○○ができない方向け」「○○を医療機関でなくサロンで」のような表現は、商標侵害のリスクだけでなく薬機法・景表法上の問題も招きます。自サロンの機器・技術・こだわりそのものを魅力として発信することが、長期的なブランド構築につながります。
📌 この記事のまとめ
- 「フォトフェイシャル®」「ハイドラフェイシャル®」「オンダリフト」「LDM®水玉リフティング」はすべて登録商標または商標管理下のワード
- エステサロンがこれらを無断使用すると、民事・刑事の商標侵害リスクがある
- InstagramのハッシュタグやSNS表記も対象になる
- 各ワードには安全な代替表現がある。メニュー名・SNS・HPを今すぐ確認を
- 正規機器導入でも、使用許諾範囲は代理店に確認することが必要


